スクガラスとはアイゴの稚魚を塩漬けにしたもの。方言でアイゴのことを「スク」といい、塩漬けをガラスと呼ぶ。大きさは3〜4センチほどで、スーパーではビン詰めにして売られ、どういうわけか1匹ずつ頭を下側に向けて、きちんと並べて詰められている。スクは不思議な魚で、旧暦の6月1日、7月1日、8月1日前後の大潮に近い日に群れをなして押し寄せてくる。その理由は専門家にもまだよくわかっておらず、いまだに謎多き魚なのだ。僕も一度、伊江島でたまたまその群れを目撃したことがあるが、そのときは突然、海面がグワッと盛り上がり、銀色に輝く一枚のじゅうたんが風に舞うように、まっしぐらに岸辺に向かってきた。なにごとぞと思ったが、地元に人に聞くと、それが雲霞の如くひとかたまりになったスクの魚影だった。このスクがやってくる頃、男たちはソワソワする。むろん、一網打尽にして捕獲するためで、この漁が沖縄の夏のひとつの年中行事になっているのである。沖縄旅行のさいに、この行事に参加してみてはどうだろうか。