アパレル産業を潤した「衣料バブル」と「消費者利益」は「トレードオフ」の関係にある。そしてその崩壊と衣料品の単価デフレは、今度は逆に消費者を潤すことになる。グローバル経済時代に突入した90年代に、企業としてどちらを向いた戦略をとったのか。つまり(自社にのみ都合の良い)表面的な利益追求に走るか、あるいは顧客志向を鮮明にして、国際価格を追求するかという姿勢の違いが、その後のわが国アパレル企業の明暗を決定づけたのである。もっと分かりやすく言おう。生産拠点の移動に伴い、アパレル商品の原価が下がる。でもそれが売価に反映されるには時間差がある。そのタイムラグをできるだけ長く稼いで利を貪ろう(?)というのが前者の戦略だ。一方、後者は、原価低下のメリットをできるだけ早くストレートに消費者に還元することを、企業としての差別化の基本戦略とした。消費者はそこで節約できたお金を他の消費に回すことで、より豊かな生活を楽しむことができる。もちろんユニクロ、しまむらは後者の代表企業だ。さらに両社は、独自の生産、調達方式で、どこよりも低価格で良質な大衆向けカジュアルウェア、デイリーウェアを、他に先駆けて大量供給することにより、日本の衣料品価格を国際レベルに近づけた功労者とも言えるのである。