「きっかけ」はどこにあるのか?まず、こんなエピソードを紹介しよう。出版社に勤めているおもしろい知人がいて、そいつはロッククライミングを趣味にしている。「先生、垂直の壁ってスゴイですよ」さも嬉しそうにそいつは言う。よっぽど好きなんだろうね。でも、そういうヤツの話は、ちょっと聞く分には必ず何かおもしろいことがある。そいつが、ある壁に初めて挑戦した時に、こんなことがあったらしい。高さはビルの4階くらい。もちろん下にはインストラクターがいて命綱を持っていてくれる。そして、壁の下から眺めて、良さそうなルートを指示してくれたり声をかけたりしてくれる。でもその日は、あと2メートルというところで行き詰まってしまった。このままだと握力が尽きてしまう。あと10秒くらいしか、もちそうにない。壁を小さくジャンプして手を伸ばせばいけるかもしれない。おそらく右斜めに進める。他に安全なルートを探す時間もない。