現在のファッションマーケットを何かと騒がせている存在がユニクロや無印良品(MUTJI)、海外組のGAP、ZARAに代表される薄利多売型の量販ブランドの存在です。なにせ日本経済がここまで停滞した状況において不況知らずの急成長、年商4000億円を狙うユニクロは、つい先頃もロンドンを皮切りに匪界戦略をスタートさせた”勝ち組”です。もちろんユニクロにしたって、ただ単に安いから売れたわけじゃない。中岡での工場生産から直営店舗での販売までを一環して自社でコントロールしながら、同時に秀逸なテレビCMで話題を呼び起こし、業界の旧態依然とした秩序を突き放すという膨大な企業努力あっての成功だと思います。大体にしてこの“デフレ価格マーケット”の熾烈さは想像を超えるものですからね。GAPなんてテレビCMから店舗顧客向けプロモーションに切り替えた瞬間に大赤字に転じたくらいです。この庶民的な大衆消費財とも呼べる商品を扱うマーケットをブランドビジネスにおけるひとつの極と考えた場合に、その一方の極にあるのが一流有名ブランドのコングロマリットがしのぎを削る高級品マーケットです。この高級品ブランドのマーケットもかつてのような牧歌的な環境では決してない。莫大な投資をしてコレクション発表を行い、世界中のメディアを通してそのイメージを訴えかけることで、消費者にいまコレが欲しい!っていう強迫観念を植えつけること。俗にいう“ハイリスク・ハイリターン”という考え方を象徴するマーケットです。投資資金が底をついた段階でブランドロイヤリテイを失って失墜していくという過酷な世界。もちろんクリエイターもその重責を担っているわけです。たとえばグッチのように株式上場しているブランドであれば、株主配当を遂行するのが企業としての使命です。こうなると高級品ブランドというのはもはや“貴族財”そのものではない。貴族財という幻想のうえに成り立った“貴族的な”大衆消費財といえるのではないでしょうか。